第58章

樋口浅子は携帯を受け取った。

携帯の電源は切れていた。

彼女は電源を入れた。

その後、あるバンキングアプリを開いた。

誘拐犯に口座番号を言わせ、1億9900万円を入力し、送金ボタンを押した。

数秒後、誘拐犯のリーダーのスマホに着金通知が届いた。

誘拐犯は狂喜した。

「2億って言ったのに、なんで100万少ないんだ?」誘拐犯のリーダーは不機嫌そうに問い詰めた。

樋口浅子は言った。「私が100万使ったの」

「金遣いの荒い女だな、今月まだ何日も経ってないのに、もう100万も使いやがって!」

樋口浅子は黙り込んだ。

彼女は目を伏せ、瞳の奥の冷光を隠した。

このカードは、相澤裕樹...

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